サッカー日本代表がワールドカップでグループステージを2位で通過しました。
大会前には「3戦全敗」と予想されていたこともあり、私たちにとっては嬉しい結果ですよね。
・・・・と、いいたいところですが、最後のポーランド戦後半で、攻めに行かずボールを回し続けていることに多くの批判が出ています。
その結果、勝ち点で並んでいたセネガルをフェアプレーポイントで上回り、決勝トーナメントに進出できたわけです。
今回の騒動の中心というか原因でもある「フェアプレーポイント」とは一体何でしょうか?
今回はこのフェアプレーポイントにスポットを当ててみました。
このフェアプレーポイントは今大会では日本戦で初めて適用されましたが、これまでの適応事例は?
他のスポーツでも適応されているの?
また今回の騒動は皆、どう思っているのか?
これらについて調査しましたので紹介していきます。
フェアプレーポイントとは?
【#日本代表 #JPN #決勝トーナメント進出 決定!】
試合結果
日本 0-1 ポーランド
セネガル 0-1 コロンビア#グループH はコロンビアと日本の決勝T進出が決定!
日本は同じ勝ち点4のセネガルとは警告ポイントの差で2位#ワールドカップ #WorldCup #daihyo https://t.co/7rZWFGAnk9 pic.twitter.com/NJMtWexrFD— NHKサッカー (@NHK_soccer) June 28, 2018
まずフェアプレーポイントの基本的説明をします。
フェアプレーポイントというのは、警告や退場の累計をポイント化したものです。
下記が詳細です。
〇警告・イエローカードをもらうと1ポイント
〇同じ選手が1試合中にイエローカード2枚で退場した場合は3ポイント
〇一発退場・レッドカードは4ポイント
このようになっています。
ちなみにイエローカードをもらった選手が、その後レッドカードで退場になった場合は1+4で5ポイントになります。
□なぜ今回フェアプレーポイントが適応されたのか?
なんで今回日本代表にフェアプレーポイントが適応されたのでしょうか?
それはセネガルと勝ち点が並んだからです。
ご存知の方が多いと思いますが、ワールドカップのグループリーグは勝ち点方式です。
試合に勝つと3ポイント、引き分け1ポイントとなり、それの累計ポイント数を4チームで争います。
先日のグループHでは最終戦前の順位は日本とセネガルが勝ち点4でコロンビアが3ポイント、ポーランドが4ポイントとなっていました。
最終戦は日本がポーランドに、セネガルがコロンビアに共に0-1で敗戦という結果になりました。
それによりコロンビアが勝ち点6ポイントで1位通過することになり、日本とセネガルが勝ち点4ポイントで並んでしまいました。
ワールドカップのルールだと勝ち点で並んだ場合は得失点差を比較します。
それも同じだった場合は順位の基準が総得点になります。
しかし今回は日本とセネガルの勝ち点、得失点差、総得点が同じであったため、フェアプレーポイントが適用されたんですね。
実際に最終戦を終えて、日本のフェアプレーポイントが4ポイントでセネガルは6ポイントでした。
ちなみにフェアプレーポイントまで一緒だった場合は抽選で順位が決まります。
Jリーグでは適用されていた
【サッカー】
昨日の日本代表の試合はネット大荒れしてるそうですねー😱
自分も観ていましたが、なんとも言えない感情に♪
賛否両論の意見等を動画にまとめました😝
んんー!ベルギー戦に期待してます(*≧∀≦*)#サッカー#日本代表#ワールドカップ#LoveSports😄 https://t.co/8eqnGfpHtv pic.twitter.com/pU8xS1gx43
— Love Sports (@LoveSportsch99) June 29, 2018
このフェアプレーポイントですが、実はJリーグではすでに適用されています。
下記がポイント詳細です。
〇警告・イエローカードをもらうと1ポイント
〇警告・イエローカード(警告2回の退場含む)のうち、異議または遅延行為が原因、さらに1ポイント
〇退場・レッドカードをもらうと3ポイント
〇出場停止は3ポイント
〇キックオフに遅れた場合は1分につき1ポイント
このようにワールドカップより細かくポイント分けされています。
ちなみにJリーグの場合は試合中に警告・退場・退席がなかった場合は3ポイント減少します。
□どのように影響するのか?
この反則ポイントはJリーグではチームにどのような影響を与えるのでしょうか?
まず順位ですが、Jリーグもワールドカップ同様に勝ち点方式です。
勝ち点以外に得失点差、クラブ間の対戦成績も同じだった場合は反則ポイントで順位が決まります。
次に反則金です。
実は反則ポイントの累計数によってチームが支払う罰金の金額も異なるんですね。
下記がJ1リーグのポイント詳細です。
102まで なし
103~112 40万円
113~122 60万円
123~132 80万円
133~142 100万円
143~152 150万円
153~162 200万円
163~172 250万円
173~ 300万円
また反則ポイントが1試合平均1ポイント以下だったチームにはフェアプレー賞として賞金(J1だと500万円)が贈られます。
このようにJリーグの場合だと順位だけでなく、チームの運営費用にも影響するんですね。
□これまでの適用例はあるの?
上記のように今回のワールドカップでは初めて適用となったフェアプレーポイント。
ワールドカップ以外にもチャンピオンズリーグなども有名ですよね。
しかし調べてみたところ、フェアプレーポイントで順位が決定した例が見当たりませんでした。
今回の日本とセネガルは非常にレアなケースなんですね。
他のスポーツのフェアプレーポイント
サッカー以外にもフェアプレーポイントはあるのでしょうか?
□ラグビー
実はラグビーのトップリーグにも存在していたんですね。
下記が細かいポイントです。
〇警告・イエローカードをもらうと3ポイント
〇厳重注意を受けると3ポイント
〇退場・レッドカードをもらうと10ポイント
〇出場停止を受けると10ポイント
こうやって見るとサッカーよりもポイントが大きいですね。
□レスリング
次にレスリングです。
男子フリースタイルと女子レスリングでは攻撃側に反則行為があった場合、受けた選手に1ポイントが追加されます。
同様にグレコローマンでも、反則行為があった場合は受けた側に2ポイントが加わります。
ただレスリングがサッカーやラグビーと異なるのは、そのまま試合のポイントとして加算されることです。
今回のフェアプレーポイントでのリーグ突破などうなのか?
今朝から新聞では日本代表のリーグ突破のニュースがたくさん報道されました。
ただ注目されていたのは
フェアプレーポイントでリーグ戦を突破
ではなく、ポーランド戦終盤での長時間のボール回しです。
日本代表はあからさまに攻める気がなく、まるで「フェアプレーポイントで勝っているから、このままいこう」という気持ちが丸出しでした。
これについては賛否両論ありました。
□西野朗監督のコメント
日本🇯🇵決勝トーナメント進出。ポーランド🇵🇱に勝つか、引き分けが良かったですが、とにかく結果です。 #西野朗 監督の判断を支持します。FIFAランキング61位の日本よく頑張った。Hグループ 1勝1分1敗 勝点4 は立派な結果。世界との距離が少し縮まったかも。サッカー⚽️の強さは、その国の国力。 pic.twitter.com/wihGc79SHW
— あいさわ一郎 (@ichiroaisawa) June 29, 2018
「非常に厳しい選択でした。万一という状況は、このピッチ上でも考えられましたし、もちろん他会場でも万一はあり得た。それでも選択したのは、そのままの状態をキープすること。これは間違いなく他力の選択でした。ゲーム自体で負けている状況をキープしていることに納得いかない、不本意な選択。非常に自分の中でも、攻撃的に、アグレッシブに戦ったグループステージの第1・2戦を考えれば、勝ち上がるためにとはいえまったく考えていなかったです。ただそういう状況だったので、自分のなかになかったプランを選びました」
参照記事:https://football-tribe.com/japan/2018/06/29/58612/
西野朗監督のコメントから苦渋の決断であったことがわかります。
あらゆる状況を考慮したうえでの「ボール回し」という決断だったんですね。
そういえば1996年開催のアトランタオリンピックでは西野朗監督指揮のもと、あの「マイアミの奇跡」でブラジルを破っています。
しかしあの時も勝ち点6で3チームが並び、結果は得失点差で敗退しましたよね。
今回もセネガルと勝ち点で並んだかたちになりました。
オリンピックでは勝ち点6で敗退。
今回は勝ち点4で突破・・・。
なんかちょっと運命的なものを感じますね。
□本田圭佑選手のコメント
【苦言】
本田、スタメン情報漏洩のメディアに苦言「もう少し考えてください」▼記事はこちらhttps://t.co/3WX2Ox9QzM
■編集部より
「#日本代表 の #本田圭佑 が、ポーランド戦のスタメン情報が事前に発表されていたことを受け、メディアに対して注意を促しています」#WorldCup #JPN pic.twitter.com/fCvGNq7h6S— サッカーキング (@SoccerKingJP) June 29, 2018
次に本田圭佑選手のコメントです。
「結果が大事。予選通過が目的だった。出ていた選手には少し酷な部分もあるけど、非常にポジティブな結果だった」
「西野さんはリスクを取りにいった。個人的には、素晴らしい采配だったと思う。僕が監督でも、この采配はできなかった。結果がすべて。西野さんはすごい」
参照記事:https://news.nifty.com/article/sports/soccer/12136-049786/
このように西野朗監督の采配を支持しています。
ただ
「サッカーはエンターテインメント。結果主義ではダメだと僕はずっと思っている。結果を出さないと誰もオレの発言を聞いてくれないので、結果だけを追い求めているけど、本当はダメ。いいサッカーをしてナンボ」
参照記事:https://news.nifty.com/article/sports/soccer/12136-049786/
このように述べてもいるので、100%同意しているわけではなさそうです。
□セネガル・シセ監督
セネガルのシセ監督、イケメンかつイカついガッツポーズだけでなく、インタビューでの「夢を大きく持たなければならない。だが、小さく始めなければならない」「謙虚さを、我々の荷物の中に入れなければならない」など知的で美しい名言も揃っており、個人的に今大会の最注目である。 pic.twitter.com/q8098Rs5gR
— キキ (@kikinokotoba) June 22, 2018
同じ勝ち点でありながら、ちょっとした差でグループ敗退したセネガル。
まさしく天国と地獄。
シセ監督は大会規定に不満を述べるかと思いきや
「我々はフェアプレーポイントの差で突破できなかった。わずかな差で、セネガルは突破できなかった。
なぜかといえば、我々はそれに値しなかったからだ。
それはルールの一つであるのだからね。我々はそれをリスペクトしなければならない。
もちろん、我々は違った形で大会を去ることを望んでいたよ。悲しいことだが、皆これがレギュレーションだとわかっていたんだ。我々は完全にコミットしていた。おそらく、だからこそイエローカードが増えてしまったのだ。
セネガルの選手たちは皆強くコミットしていた。もしそれがなければ、ワールドカップでいいプレーをするのは難しい。
このレギュレーションが残酷なものであるかどうかはわからないよ。しかし我々はイエローカードを避けるよう選手に求めることはできなかった。
残念ながら、それは我々に対立する形で働いてしまったね」
「他のチームを見れば、我々のサッカーを恥じるべきではないと思うよ。上位と他のチームの間に大きな差はない」
このように述べています。
なんと潔いコメントなんでしょうか。
敵ながらあっぱれって感じです。
でも、その反面「ルールだから仕方ないよね」という印象も受けます。
今回の問題点とは?
日本代表を応援している多くの人が「グループリーグ突破は嬉しいけど、なんか素直に喜べない」という感覚だと思います。
ポーランド戦での西野朗監督の采配は何がいけなかったのでしょうか。
□ボール回しはどのチームでもやっている
ポーランド11番「あ、そろそろ終わる?」 #ワールドカップ pic.twitter.com/GC7m0E3Qkq
— あんず (@04LS_ORAL_UVER) June 28, 2018
まず「ボール回し」自体がいけなかったでしょうか?
このボール回しですが、いろんな大会でいろんなチームが行っていると思います。
私が記憶しているのは2002年日韓ワールドカップのイタリアVSメキシコです。
この2チームは互いに終盤は攻めない状況が続いていました。
このようにリーグ戦の場合は「ボール回し」という選択肢は個人的には「あり」です。
ただボール回しは両チームのグループリーグ突破が確定し、「無理をしない」という背景があるからこそできる技ですよね
しかし今回の日本代表はセネガルVSコロンビアの得点次第で全てが変わってしまう状況でした。
しかも負けているのにボール回しを選択したので、批判を受けているのだと思います。
結果を優先させた
今回の騒動で思うのが大事なのは「結果」なのか?
それとも「姿勢」なのか?
ということです。
グループリーグ突破は嬉しいが、この方法で正しかったのか?
多分、否定派の人のほとんどがこのような考えを持っているでしょう。
でも、これって見ている人がどこに重きを置いているかによって、全く異なります。
反対派の方々には申し訳ありませんが、私は西野朗監督の采配に賛成しています。
日本が大会前にグループ内最弱と言われていました。
その日本がグループリーグを突破するために、ルールをうまく活用して突破したと考えています。
仮にラスト10分の時に無理に攻めにいって、カウンターで追加点を取られていたら別の批判が起きていたでしょう。
振り返ってみると、大会前から日本代表は監督交代や代表選出でいろんな批判が出てきました。
そう考えると、何をやっても批判が出るんだなぁと感じます。
多分、西野朗監督はボール回しによる時間稼ぎでリーグ戦を突破しても、批判を浴びることはわかっていたんではないでしょうか。
それでも結果を出すために、その作戦を選択したところが私は凄いと思います。
まとめ
フェアプレーポイントとは反則の累計ポイントでリーグ戦において、順位を決定する基準になるものでした。
また今回の西野朗監督の終盤のボール回しという決断は、とにかくリーグ戦を突破することを優先させた作戦だと思います。
確かに反対する気持ちもわかりますが、次のベルギー戦でいい試合をすれば反対派の意見も吹き飛ぶような気がします。
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